2026/06/22 12:06
こんにちは。Y. & SONS 京都の近藤です。 梅雨明けが待ち遠しい時期になりましたが、いかがお過ごしでしょうか? 雪国出身の私は、学生時代から5年ほど関西に住んでおりますが、いまだに毎年こちらの暑さに驚いています。 今回は、私がおすすめしたい、夏の暑い時でもさらりと気持ちの良い『阿波しじら』についてご紹介いたします。 夏に涼しく着られる阿波しじらの特徴 阿波しじらは、生地の表面に「シボ」と呼ばれる独特の凹凸がある織物です。 この生地は太さの異なる糸を組み合わせて織られており、織り上がった後に約75℃の熱湯に通すことで、それぞれの糸が持つ張力の違いによって縮み方に差が生まれ、それによりシボが生まれます。 このシボによって肌と生地の接地面が少なくなるため、汗をかいてもべたつきにくく、また通気性にも優れたさらりとした着心地となります。 それゆえに暑い季節でも快適に着用できる生地として昔から親しまれています。 吸水性の良い木綿の生地は、私もシャツなどに選ぶことが多いのですが、汗を吸うことで肌にまとわりつくのがつい気になってしまうことが時折あります。 ですが、着ていることを忘れるような軽さと、特有のシボ感による肌離れの良さはとても心地良く、これこそが私が阿波しじらを好きな理由の一つでもあります。 阿波しじらの歴史 そんな阿波しじらの始まりは、1856年(安政3年)に遡ります。 現在の徳島県にあたる安宅村(あたけ、現在の安宅町)に住んでいた、海部(かいふ)ハナという織女により開発されました。 ある日彼女は雨に濡れて乾いた木綿のきものを見て、糸の本数を誤って織った部分が縮み、凹凸が生まれていることに気が付きました。 その発見から着想を得て研究を重ね、糸の張力を調節して生地に独特の縮みを出す技術を確立しました。 その後、1869年(明治2年)に木綿商人の安部重兵衛によって「阿波しじら織」と名付けられ、徳島を代表する織物として広く知られるようになりました。 後に織機が普及し効率的に生産されるようになると、呉服商の高石清次郎らによって中国や東南アジアにまで輸出されるようになったと言われています。 偶然の小さな発見から始まり、幾度もの研究を経て国外にまで広がったというのは本当に驚きです。 当時、絹のきものは贅沢品として庶民は着用を許されていませんでしたが、そのなかでも「工夫を凝らしたきものを身にまといたい」という海部ハナの想いから生まれたのがこの阿波しじら織と言われています。 大小さまざまな幅の縞が流れるように並ぶ「滝縞」は、ゆかたやきものの伝統的な柄の一つとして親しまれています。 そんな滝縞に、深みのある紺色に目を引く明るい赤の対比をあしらった、Y. & SONSのこだわりが加えられた生地です。 シボによる表情とシャリ感、そして風を受けて揺れる様子は涼やかです。 まとった時に体に沿って流れ落ちるような縞を見るたびに、私は幼い頃家族と行った地元の滝を思い出し、とても懐かしい気持ちになります。 見た目にも着心地にも清涼感があり、まさにこれから迎える暑い季節に快適に着ることができます。 コーディネートと仕立てについて 阿波しじらは、合わせるスタイリングアイテムや柄出しによって印象が変わるのも魅力のひとつです。 同系色の帯を合わせれば、落ち着きのある雰囲気に。 全体的に紺色で纏めつつ、インナーのHenley Neck Teeと、郡上下駄に明るい色を取り入れることで、さりげない爽やかさを添えています。 Henley Neck Tee / American Sea Island Cotton / WHITE ¥16,500(税込) 十日町角帯 / 諸紙布 / 網代 / 黒 ¥165,000(税込) 羽織を合わせることで装いの印象が変わります。 羽織は洋服で例えるとジャケットにあたり、ゆかたの上に羽織っていただくと少しかしこまった雰囲気になるので、観劇やディナーの際にもおすすめです。 淡い色の羽織紐や帯などの小物を合わせることで、より明るい印象になります。
羽織 / ラミーパナマ / ストライプ / NAVY ¥82,500(税込) 羽織紐 / 伊賀組紐 / 二重内記耳絣 / GREIGE ¥18,700(税込) 帯 / 博多角帯 / 羅 / IVORY ¥55,000 (税込) また、この生地はゆかたとしてだけでなく、羽織や作務衣としても仕立てることができ、生地の「シボ」による風通しの良さや肌離れの良さを、様々なかたちで感じることができます。 さらに、仕立てる際に柄の配置を決めることができ、下の写真の様に左右非対称の「追い掛け柄」や左右対称の「ぶっつけ柄」、などお好みに合わせてお選びいただけるのも魅力です。 ちなみに、この写真は「羽織スタイル」ですが、私はこの着こなしが一番好きです。 昔からゆかたとして親しまれてきた阿波しじらを、伝統的な形を残しつつ、普段の装いの中に取り入れられるところに魅力を感じます。 インナーがしっかり見えるので、少し色を変えるだけでも雰囲気を変えることができます。 屋外と室内の寒暖差が気になる時などに、さらっと一枚羽織ることで解決できるのも良いところです。 インナー / BATONER / SMOOTH-KNIT T-SHIRT / WHITE ¥24,200 (税込) 羽織紐 / 伊賀組紐 / 洋角組 / GRAY ¥15,400 (税込) 雪駄 / 野崎烏表 / ビブラムソール / BLACK ¥44,000 (税込) ちょっとしたお出かけや、夕涼みに。自分だけの柄出しとスタイリングで、Y. & SONSの阿波しじらとともに、暑い夏を心地よく過ごしていただけたら嬉しいです。




下駄 / 郡上木履別注 / vibramソール / NAVY ¥17,600(税込)

