2026/06/14 12:30


こんにちは、Y. & SONS 表参道スタッフのシエナです。

梅雨入りも間近となり、蒸し暑さを感じる日が増えてきました。

Y. & SONS 表参道の店周辺では紫陽花がきれいに咲いていて、毎朝その姿を見るたびに、夏が少しずつ近づいていることを感じます。

今年の4月に入社し、Y. & SONS 表参道に配属となりました。毎日通勤で歩く表参道の景色は、今でも新鮮に感じます。

本題に入る前に、少し自己紹介をさせていただきます。

志恵奈(シエナ)と申します。休日はハイキングに行ったり、教会で歌ったり、きもので出かけたりして過ごしています。日本語も英語も話せますので、ご来店の際はぜひお気軽にお声がけください。

私はアメリカ・コロラド州の出身なのですが、日本の夏は今でも驚くほど暑く感じます。来日して6年になりますが、今では夏になると自然と扇子を持ち歩くようになりました。

ハンディファンも便利なのですが、気が付くと充電を忘れてしまうこともしばしば。結局、いつも手に取るのは扇子です。

きものの日は帯に挿しておけますし、小さなバッグにもすっと収まります。必要なときにさっと取り出せる気軽さも魅力です。

そんな、毎年夏になると手放せなくなる、扇子をご紹介したいと思います。



Y. & SONSの扇子の拘り

Y. & SONSの扇子は、高島扇骨、本美濃和紙を用いて作られており、山梨に工房を構える、杉山江見堂で草木染めと仕立てが行われています。

毎日持ち歩くアイテムだからこそ、見た目の美しさだけでなく、使い心地にもこだわっています。

実際に手に取っていただくと、それぞれの素材や手仕事の温もりを感じていただけると思います。


高島扇骨

扇子の骨組みに使用しているのは、滋賀県高島市で作られる高島扇骨です。

高島扇骨作りは江戸時代に冬の副業として始まったとされ、現在では国産扇骨の約9割を占めるさんちとして知られています。

竹で作られた高島扇骨は、軽さや薄さ、しなやかさに優れており、開閉のしやすさも魅力です。

Y. & SONSでは、25間と45間の扇子をご用意しています。また、長さも7寸5分(約28cm)と6寸5分(約24cm)の2種類があり、性別にとらわれず、お好みに合わせてお選びいただけます。


Y. & SONSで働くまで45間の扇子を見る機会はほとんどなかったのですが、初めて手に取ったときに強く印象に残りました。
骨の数が多いことで開く際に滑らかになり、扇骨の存在感と和紙の繊細さのバランスが際立ちます。その表情がとても上品で、美しいなと感じています。



一方で、藍と柿渋のみですが、コンパクトな6寸5分の扇子もお気に入りです。
小さなバッグにも入れやすく、夏になると自然と出番が増えます。

25間と45間、7寸5分と6寸5分。

同じ色柄でも、間数や大きさによって印象は大きく変わります。色だけでなく、こうした違いから選べることもY. & SONSの扇子の面白さだと思っています。



本美濃紙

扇面には、岐阜県で作られる本美濃紙を使用しています。

美濃和紙の歴史は古く、その技術は現在まで受け継がれています。

原料となる楮から作られる本美濃紙は、柔らかさと丈夫さを兼ね備えた和紙です。和傘にも使用されてきたことから、その丈夫さがうかがえます。

私自身、本美濃紙の好きなところは、光を受けたときの表情です。扇子を開くと、和紙の艶や、光と影による色の見え方の違いがあり、つい何度も開いてしまいます。

ポケットやバッグに入れて持ち歩ける小さなアイテムですが、その中にたくさんの手仕事が詰まっていることを感じます。



杉山江見堂の草木染め

一枚一枚の和紙を、丁寧に草木染めしています。

染料には柘榴やログウッド、欅、くるみなど、野山で採れる様々な自然染料を使用しています。



和紙の中央を絞り、左右を異なる色で染め分けることで生まれる美しいグラデーションも特徴です。

繊細な和紙を染めることは決して簡単なことではありません。完成した扇子を見ると、杉山さんの職人技が感じられます。

草木染めの面白さのひとつは、同じ染料でも媒染によって色合いが変わることです。

Y. & SONSではアルミ、鉄、銅などを用いて媒染を行っています。

例えばアルミ媒染では明るく柔らかな色合いに、鉄媒染では深みのある落ち着いた色合いになります。

同じ染料から様々な表情が生まれるのです。



左:アルミ媒染 右:鉄媒染


表参道限定でのお取り扱いになりますが、欅染めが好きです。

Y. & SONS 表参道の近くに続く欅並木にちなんだ染めですが、毎朝通勤するときに見上げる景色を思い出させてくれます。

表参道の欅の中には、明治神宮創建の翌年に植えられ、戦火を乗り越えてきたものもあるそうです。

そんなことを思い浮かべながら欅染めの扇子を見ると、また違った見え方をする気がします。

同じ欅染めでも媒染によって色が変わるので、ご夫婦やご友人同士で色違いを持つのも素敵だと思います。

私はワイン好きの友人に、ワインの澱で染めた扇子を贈ってみたいなと思っています。



扇ぐたびに香る伽羅

最後に、ぜひ実際に手に取っていただきたい理由がもうひとつあります。

それは香りです。

ご来店いただいたお客様に扇子をご案内するときは、ぜひ開いて扇いでみてくださいとお話しすることが多いのですが、それには理由があります。

Y. & SONSの扇子には、扇骨に伽羅のオイルが塗られています。

扇子を開いたり閉じたり、風を送ったりすると、ほのかに甘く上品な香りが漂います。

寺社で香るお香を思い出される方もいらっしゃるかもしれません。

見た目では分からない魅力なので、実際に使って初めて気付かれるお客様も多くいらっしゃいます。

保管環境にもよりますが、伽羅の香りはおおよそ1〜2年ほど続きます。持ち歩きや保管の際には、麻の扇子袋に収めていただくと、より安心です。



毎朝、陳列されている扇子を整えるたびに香るこの伽羅の香りは、今では私の好きな香りのひとつになっています。

このブログを書いている今も、欅染めの扇子を机の横に置いています。

考え事をするときについ開いたり閉じたりしてしまうのですが、そのたびに聞こえる竹の小さな音が心地よく感じます。

和紙に映る光の表情を眺めたり、扇子を開くたびにふわりと立ち上る伽羅の香りを感じたり。

朝見上げた欅並木を思い出したり。

扇子は暑さをしのぐためのアイテムですが、それだけではない楽しみがあります。

紫陽花が咲き、夏が近づくこの季節。

みなさまにも、お気に入りの一本を見つけていただけたら嬉しく思います。



扇子 / 本美濃紙 / 45間 / 6寸5分・7寸5分 各色 ¥14,300 (税込)

扇子 / 本美濃紙 / 25間 / 6寸5分・7寸5分 各色 ¥7,700 (税込)

扇子入れ / 麻生平 / 矢車染め / 6寸5分・7寸5分 ¥1,760 (税込)